カンボジアのフン・セン首相は8日、政府経済顧問に任命したタクシン・タイ元首相が12日カンボジア入りし、プノンペンで講演する予定であることを明らかにした。元首相がカンボジア入りすれば、反タクシン派のタイのアピシット政権は猛反発し、国境封鎖など厳しい対抗策に出るのは確実だ。

 フン・セン首相は記者団に対し「タクシン元首相は12日、経済財政省で300人以上の経済専門家を前に講演する」と説明。タイ側が国境封鎖の可能性を警告していることについては、「タイが国境を封鎖すれば、カンボジアも封鎖する。国境貿易が停止すれば、より大きな損失を被るのはタイだ」と述べ、同様の措置で対抗する強硬姿勢を示した。

 両国間には犯罪人引き渡し条約があり、タイ政府は汚職罪で有罪判決を受け海外逃亡している元首相がカンボジア入りすれば引き渡しを求める方針。しかしカンボジア政府は、「元首相は政治犯」などとしてこれに応じない見込みだ。

 元首相の拘束と収監が大きな政治的課題のアピシット首相にとって、元首相が隣国を訪れながら拘束できないという事態は、自身の政権の無能力さを内外にさらけ出すことになりかねず、どうしても避けたいところだった。

 一方で、国境のヒンズー教遺跡「プレアビヒア」付近の領有をめぐる対立などから、タイ国民の反カンボジア感情は強い。世論調査によると、フン・セン首相が元首相の顧問任命に言及した10月以降、アピシット首相への支持率が急上昇。元首相がカンボジア入りすれば、アピシット政権は国内世論にも後押しされて、カンボジアに対しさらに強硬な対抗姿勢を取るのは間違いない。

 日本では最近はあまりタイの政権を巡る動きは活発には報道されませんが、タクシン氏の動向にこれだけ大きな関心が集まることを見ても、タイ国内の政治の不安定さが見て取れます。
 近く、初めてASEANとアメリカの首脳会議が開かれることもあって、このまま両国対立がエスカレートすれば世界の注目を集める国際会議で、ASEAN内部の分裂をさらけ出すことになりかねないと周辺国は懸念しているようです。

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